おはようございます。神谷です。
斎藤駿氏の『なぜ通販で買うのですか (集英社新書)』の紹介です。
デロンギヒーターは『通販生活』のロングセラー商品です.
1987年から売れ続けているのですからすごい。
『デロンギヒーター』は売れなくて、代理店ももてあましていた商品。
オイルヒーターって友人が使っていたのですが、
「スイッチを入れても、全然暖かくならない」
のです。
もともとは、ヨーロッパの補助暖房機として使われていたらしく、特徴は、 「温風を出さずに暖房する」 主暖房で温まってきたら、オイルヒーターに切替えて、室温を維持する・・・って狭い日本に補助暖房装置なんて、余計なものを置くスペースはないですね。
それに、オイルヒーターって、すっごく重いのです。
ハッキリ言って、「補助暖房機」なんて、じゃま以外の何物でもないような気がします。
最初は、『通販生活』でも売れなかったそうです。
ヨーロッパと同じ「補助暖房機」で売っていてはだめだろうと、「主暖房として売る」ことを検討したそうです。
この発想が、「通信販売の神様が私に贈ってくれたヒント」と言っています。
そう、メーカーが「こう売ってください」という事にとらわれないという事ですね。
小売りが「どう使用するか」という事を提案できるのだという事に気が付いたのでした。
その時のコピーが
寝室に置いておくと、ひと晩中ホテルに泊まっているような快適さ
ひと晩中つけておく。
唯一の欠点は、部屋が温まるまで30分くらいかかることですが、このヒーターの目的は”長時間つけっぱなしで一定室温を保つ”ですから、そもそも利用目的が違います。
オイルヒーターを使用したときの使用価値観を示し、他の暖房器具との差別化を図ったコピーです。
「使用価値を自分の頭で考える」
ということです。
それには、 「買う人を特定する」 と、どんどんイメージがわいてくるようです。
どうやって、今の使用価値までたどり着いたかが詳しく書いてありますが、ここに引用するのは長すぎるので、それが気になる方は、『なぜ通販で買うのですか (集英社新書)』を読んでくださいね。
もう一つ例が載っていました。 羽毛布団です。 今では、羽毛布団も珍しくなくなりましたが、昔はかなりな高級品でしたね。
羽毛布団の前に電気毛布の方が普及していましたから。
ここで、羽毛布団に不便を感じている人を特定する。
羽毛布団のコピーを引用してみましょう。
寝るとすぐ暖まる。
トイレから戻ってもすぐ暖まる。 真冬でも暖かい。
体温で包まれている感じがよくわかる。
電気毛布のように体の水分を奪うこともないので、のども乾かない。
健康的である。
お年寄りには特にいいだろう。
売る人を特定するというのは常識ですが、斎藤駿氏は単に特定するだけではなく、
その訴求対象に血肉を与えて、かぎりなく、せまくしぼりなさい。
と言っています。
そのコピーを読んだ人が、「あ、わたしに対して話しかけているんだ」と思うくらいのものを書きましょうとのことです。
街の実店舗では、この生活価値観をお客様に提供できない。
いくら、実物を手にとってもどう使ったらいいか、生活に対して何がいいのかが分からなければ買えないという事なのです。
いくら、製品のスペックを書いても生活価値観は伝わりません。
逆に考えると、通信販売の商品とは、 「使用価値観が分かりにくいもの」 を選択しましょう、
という事なのですね。
とはいえ、「どうやったら生活使用価値が伝わるか」。
そこには、イージーではありませんが、シンプルな方法があります。
使用価値は経験を媒介にしないと信用されにくい
理解は難しくありませんね。
実際に使った人の声を集めてもいい、自分の使用感を語ってもいい。
でも、カタログの言葉を買えただけでは難しそうですね。
第5章はエコロジーへの取り組み。
第6章は原発と平和権謀について。
となっています。
『なぜ通販で買うのですか (集英社新書)』を読んで、かなり通販の勉強になりました。
通販に関わる方には、かなり参考になると思います。
『通販生活』のことを知って、勉強したいという方は本を読んでくださいね。 ご購入の際は、こちらからどうぞ。